音で土を味わう・愛でる
土の「音」に注目したいというお題をもらい、クリエイションしました。
土そのものだと、ほとんど音がしない!(砂ならまだしも)
最初に思い浮かんだのが、焼かれて硬質化した「植木鉢」でした。
自分の音具のひとつとして好きで使うことがありましたが、今回は深く掘り下げることとなりました。(土だけに?)
素材から音を引き出すのが得意な高良真剣くんに協力してもらい、ふたりであれこれ実験。
高良くんとはこれまでにもいろんなことをしています。
暗闇即興
https://maicotomita.com/archives/6907
自分と演奏するための録音&録画
https://maicotomita.com/archives/279
マイクを通さないアコースティックな素朴な音色も十分魅力的であるうえで、
あえてマイクを使うことで、ミクロな視点で植木鉢の音を受け取ることが可能に!
まるで虫眼鏡や顕微鏡で土の中を覗いているような感覚です。
小さなマイクを私たちの耳ととらえ、植木鉢のなかや周りを探検。
その音を拾い、音楽にしました。
小さな世界を、大きなスケールで体感することの違和感(ポジティブな)、面白さがありました。
打楽器奏者お得意の叩く、擦る、はじく等のほかに、ハウリングも活用。
マイクの上に植木鉢を被せると、まるで声のように鳴きます。
植木鉢たちによるコーラスのような響き、あるいは地面奥深くから発せられる波動を受け取っているような感覚もありました。
基本ノイズであるハウリングを用いることは、不快となるリスクもありましたが、
聴いてくれた方のひとりが、第一声に「あの音がすごく良くて感動した」「ハウリングをノイズと思わなかったのは初めてだった」というようなことを言ってくれて、心の中でガッツポーズ!
自分たちが面白い、楽しいと思うことを、聴いてくれたほかの人もそう感じ受け取ってくれるのは、なんて嬉しく、幸せなことなんだろう!
パフォーマンスの前には、参加者のみなさんがつくった土鈴(その名のとおり土の鈴)を使った音のワークショップもやりました♩
最初、これでみんなで何かやりたいんだよね〜と依頼されて、初めてのアイテムだし、一つひとつが とてもささやかな音なので、どうなるかなあ..と思いましたが(笑)、
ふだんワークショップなどで取り組んでいる手法を使って、みんなで土鈴の音を味わい、楽しむことができました。
45人くらいで、響きのある会場で鳴らすと、涼やかな音に包み込まれるような、不思議な音空間に。
一定の時間に、ひとり1回ずつ好きなときに鳴らす即興演奏では、まるで秋の虫の声のように、あちこちから聞こえては消え、ときに共鳴し、豊かな音の景色が生まれていました。
教育的側面もあるイベントだったので、参加者にはその業界の方も多く、このワークショップが良かったとお声をいただいたことも励みになりました。
私は学校教育とは少し異なる視点での音楽体験を届ける活動をよくやっているので、自分にとっては やや当たり前になりつつありますが、まだまだ世の中には知られていない!
多様な音楽との親しみ方が、もっと浸透してゆくといいなと思います。
その場を共有し、気づきをくださった参加者の皆様、ともに音づくりをしてくださった音響班の皆様、お世話になったスタッフの皆様、この話をもちかけてくれた友人のたなべひろこちゃんに、感謝します!