【レポート】2025年8月3日(日) 東京藝術大学の公開講座『オリジナル木楽器【tubomi】を作って遊ぼう』

木工アーティストの鄙里沙織さんにお声がけいただき、東京藝術大学の公開講座『オリジナル木楽器【tubomi】を作って遊ぼう』にてゲスト講師を務めさせていただきました!
夏休み中の東京藝術大学取手キャンパスにて2日間にわたって開催され、
1日目は木材を選んで楽器作り、2日目はその続きの仕上げ作業と、楽器で実際に演奏してみるワークショップという内容。
取手キャンパスに今回初めて足を踏み入れましたが、とっても広くて、のどかで、良き環境でした。ヤギさんも2匹いて、ふだんから放牧されているそうです🐐🐐
今回作った「tubomi」は、造形物としてもユニークで美しく、さらに楽しい音も鳴る、素敵な作品であり楽器です!
五角形または六角形の厚めの板の周りに、薄くて細長い木の板をくっつけて花びらに見立て、茎ような持ち手をつけます。
演奏に使うマレット(先が球体のバチ)は、花びらたちの中心に刺せるようになっていて、おしべやめしべのように見えます!
音の鳴る構造としては、「トーンタング」という楽器から着想を得られていて、花びらの内側をマレットでクルクル擦ることで、カランコロンと愉快に鳴ります。
材木の種類(ウォールナット、ブナ、カリン、黒檀などなど)、長さ、厚さ、形状よって音色や音程はさまざまで、どんな音になるかは作ってみてからのお楽しみ..!(なかなか予想通りにはいかず、フシギがたくさんありました!)
制作が終わったあと、おひとりずつ、ご自身の作ったtubomiのコンセプトやお気に入りポイントなどをご紹介いただき、音も聴かせてもらいました♪
デザイン性重視で花びらに細やかな装飾を施す人、さまざまな音を出せるようにと1枚ずつ長さや木の種類をバラバラにする人、あえて全部を同じ種類の木にしてみた人、やすりがけや油塗りを丁寧にやる人、あえてやらずに素朴に素材を生かす人....
などなど、お一人おひとりのこだわりや探究心に溢れ、個性が光っていました!
だいたいは同じような素材を使い、同じような工程で作ったはずなのに、こんなにもちがうキャラクター、まさに十人十色になるんだなあと、とっても興味深かったです。
先ほどのクルクル奏法も、クルクルするスピードを変えることで音量や雰囲気が変わることをみんなで楽しみました。
またクルクル以外にも、いろんな鳴らし方を試しながら、みんなで音のリレーをしてメロディーをつくって遊びました。
その後、tubomiたちを手に持って工房から移動し、上の階まで吹き抜けになっているピロティ(?)のような空間へ。
すごく反響する場所なので、楽器の1音1音もよく響き、より"楽器的"に聞こえます。
この場所では「余韻」や「間」を楽しむ方向で、目を瞑って鳴らしてみるなど、より耳に集中しました。お互いの音を聴き合いながら、対話をするイメージで演奏しました。
どこかで発生したリズム・パルスに共鳴して集まってくる生き物の声ような音や、それとは別の軸で流れ続けているせせらぎのような音など...
少しずつ変化してゆきながら、盛り上がったり、静けさが訪れたり、自然と音楽になっていました。
最後は、コンクリートの壁、木の床、外の光も差し込む大きな窓、素敵なコンサートホールのようなお部屋へ。
こちらもとても豊かに響くので演奏にピッタリです。
ムクロジの種(羽根突きの羽根の玉や数珠に使われているそうです)をtubomiの中に入れてコロコロと回す奏法も試みました。
響く空間だと、一粒だけでもささやかに、いい音がしました。
一人ずつ順番に加わっていくと、音の重なりが美しかったです。
最後はハンドサイン(ジェスチャー)で大合奏!
あえて一切説明をせずに始めましたが、みなさんのキャッチ能力とセンスが素晴らしく、見事な音楽になりました!
...というわけで夢中になっていたら、あっという間に終了時刻に。
小学生から大人の方まで、ご縁があって集まったみなさんでtubomiを奏でることができて、楽しいひとときでした!
ご参加いただいた皆様、鄙里さんをはじめお世話になった東京藝術大学の皆様、気にかけてくださった皆様、
ありがとうございました!
