【レポート】2026年5月23日(土) サウナの音で遊ぶ実験プログラム「SAUND」in 森、道、市場2026

アウトドアサウナ文化を広める活動をしている「SaunaCamp.」さんが出展される、愛知県蒲郡市で開催の"モノとごはんと音楽の市場" 「森、道、市場2026」のサウナエリアにて、サウナの音で遊ぶ実験プログラム「SAUND」が、一日限定イベントとして実施されました♨️
私はサウナ内の音の一部として、マキンバ(薪から生まれた木琴)を中心に、木の実や植木鉢のカケラなどの素材を鳴らす演奏者として出演しました🪵!
(心底好きなことが仕事になって、なんともありがたき幸せです)

snsをきっかけにサウナキャンプさんと出会って意気投合し、「ウィスキング」という葉っぱの束で身体を叩くサウナ内プログラムで、音やリズムも一緒に楽しもうという実験的なサウナ×音楽セッションを3年前に行いました。
そこで極めてサウナ的楽器であるマキンバ(テントサウナをあたためる燃料は薪です!)を即興演奏し、相性の良かったことが今回につながりました。

今回は より踏み込んだ内容で、その場で生演奏とウィスキングを楽しむだけでなく、サウナ室内に生まれたあらゆる音(私の即興演奏や、ロウリュで蒸気が発生する音、ウィスクの葉音、その他ノイズも含めて)をマイクでリアルタイムに録音し、その音を同時に加工して新たな音像を生み出そうというものでした。
そして、この音づくりを担当されたのが、サカナクションの岩寺基晴さん!
サウナを愛するアーティストで、2019年にやはり森道市場にてサウナキャンプさんとコラボレーションされている経緯があります。
今回サウナキャンプさんの発案とお声がけにより、私もご一緒させていただくことができました。

実際にサウナ室内でグループウィスキングを体験して参加された方と、
外に置かれたスピーカーから音を聴き、サウナ室内の様子のモニター映像と、それを見ながらライブで音をつくってゆく岩寺さんの姿を観覧するスタイルで参加された方がいました。
どちらもこれまでにない、新しい音浴体験であったはずです!

マキンバは生音も素直で良い音なのですが(その豊かな響きから、見た目とのギャップに驚かれる方多数です!)、岩寺さんの手によって、よりディープで、神秘的で、夢見心地な音になり、"ととのい"を誘発していました。

私は8年ほど前に「サウナ」の魅力を体感してから、いまや生活のなかで必要不可欠なものになっています。
ブームもあって「ととのう」という言葉がよく聞かれるようになりましたが、サウナで得られる心身の感覚をとても端的に表していると思います。
ととのうって一体どういう状態なの?と周りの方から聞かれることもありますが、説明がなかなか難しく、というより正解はひとつでないと思い...これは体験しないとわかりません!もし言語化するとして、きっと人それぞれです。

私が ととのっていると感じるときには、たとえば自分が銅鑼やトライアングルになっていて全体がジリジリビリビリと振動している、という感覚になることがあります。
また、周囲の音の聞こえ方も変わります。シャワーの音がまるで滝のようにスケールが大きく聞こえたり、ドローンのような重低音が聞こえたり(たぶん実際には鳴っていない)...。
そういった五感の変化が心地よく、それを楽しんでいることにあるとき気がつきました。
これを味わっているときはおそらく瞑想にも近い状態で、リラックスしながらも、集中しています。自分と外との境界線が溶けていく感じ...。
そしてこの感覚に近い音楽が、スティーヴ・ライヒの音楽だと思っています。
音が遠くのほうからまるで波のように押しては返し、自分の中を通過する。最初はひとつだった音像がすこーしずつズレていき二重になったり、再び重なって新たな音像が生まれたりする。空間や自分自身が拡張されていく。音と音の重なりによって、現実では鳴らしていない新たな音や響きが聞こえてくる。視覚的にも、光の変化を感じる など。。
なんと、この「サウナ体験とライヒの音楽体験の親和性」を岩寺さんも感じていらっしゃるとのことで、びっくりとともに本当に嬉しく...!
こんなことがあるんだなあと、とっても不思議な気持ちです。

この「SAUND」が面白くなるかどうか、事前に実証実験も行いました。
10分プログラムとのことで、私にとってはこれまでの即興演奏の中で最短で、短い時間の中に音楽的に充実した流れをつくることがやや難しくも感じられましたが(私がじっくりタイプってこともあり)、実際にやって客観的に見てみると体感的にちょうど良いことがわかり、どんな音やシーンがあると気持ち良いかなども、だんだんと見えてきました。
岩寺さんの加工によって自分の出した音があとから追いかけてきたりして、演奏者は自分ひとりでありながら、もうひとりの自分とセッションしているみたいな感覚もあり、自分の音と音とを重ねていき新たな色合いを生み出すことを楽しみました。予想外の音が返ってくることで、自分の想像の範囲を超えた音楽になることも面白かったです。
鳴らす素材や出したい音によってバチを使い分けるので、持ち替えているあいだ使えるのが片手になったり、あるいは一旦音を鳴らせない間が生まれたり...
どの回も参加された方にとって満足感のある10分にしたいので、ある程度これは入れたい!というネタみたいなのはいくつか持っておきます。ただすべてを決め込んでしまうと面白くないし、その場の周りのさまざまな要素を受け取って、そのときの自分で、音を生み出したいので、一瞬一瞬感覚を研ぎ澄ませて、常に選択の連続です。このアンテナ張り巡らせながら集中している感じも、ライヒの音楽を演奏しているときと似ています。

突然ですが、"演奏する"という行為自体はある意味で不自然なことだと思っていて、たとえば森の中で聞こえてくる鳥の声や葉の擦れる音、風の通る音などにまさる、自然で心地の良い音はないのではと折に触れて思うのです。でも自分は演奏家だしそれを言っちゃあ..というところもあるので、人間だからこそ、ひいては私だからこその音をあれこれ試みるのですが、その中で、作為的でなく鳴らす音も大事にしています。
たとえば竹鳴子のようになにかが触れることで揺れてランダムに音の鳴るものや、スティックやマレット(打楽器演奏に使うバチ)のように自分の脳〜腕と直結!みたいではないツール(鈴や木の実等)で楽器を鳴らしてみるなど。
さらには外の環境音に自分が影響されたり(良い意味で)、それを取り込むのも即興の醍醐味です。

ウィスキングのファシリテーションをするサウナキャンプの大西さんも、サウナの温度や参加者の様子を気にかけながら、喋ったり、ロウリュしたり、ウィスクをカサカサしたり、私の演奏の様子も見つつ、生みだされている音を聴きつつ..という感じで五感フル稼働で場づくりをされていて、まさに"セッション"でした。

私はやっぱり、その場にいる人や環境などすべてが互いに作用しあって生み出される場や体験が好きだなあと感じました。そしてそれをどう味わおうと、楽しもうと、一人ひとりの自由という。良い悪い、正しい正しくないじゃない。
サウナと音楽の共通点はここにもあると思います。

...サウナと音楽について語りたいことはまだまだあるのですが、長くなるのでこのあたりにしておきます(笑)

当日参加されていた皆さんの笑顔も印象的でした😌
プログラムが始まる前のトークコーナーに、岩寺さんのお心遣いにより僭越ながら私も混ぜていただくことになり、その状況に緊張があったものの、そのときからすでにお客さまがとても温かく見守ってくださっていて、ほっとしました。
ふだん打楽器の生演奏(今回はその中でもかなり特殊なものですが笑)を聴くという方は少なかったかもしれないと思うのですが、マキンバに興味をもってくださる方も多く嬉しかったです♪
あと首からネックレスのようにぶら下げていた木の実が赤ちゃんに人気でした☺️

今回の企画をきっかけに、サウナの魅力はもちろんのこと、マキンバをふくむ打楽器や音そのもの自体、音楽の多様性に少しでも関心をもってもらえていたら嬉しいです。

ご体感くださった皆さま、そしてお世話になった皆さま、ありがとうございました!

📸photos by @kabochao